卸売 新潟交通バスカード

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あれは2009年の1月だった。私が25歳の時だ。世間はリーマンショックにより、酷く陰鬱な雰囲気であった。ここ新潟は鉛色に染まる曇天も相まって人々は皆暗い顔をしていた。 道脇にある雪の塊を蹴りながら下校する小学生、中には友達に雪をぶつけ合う子もいた。 「何も分からないって幸せだな」 車を運転する私の声がふと出た。 仕事がなく早めに上がった日のことだった。当時小学生の下校に帰宅するのも珍しく無くなっていた。なぜそんな言葉が出たのか簡単である。持ち株が大きく値下がりして損切りをしたのだ。幸い現物にしか手を出していなかったのでマイナスではあるものの、追証だなんてことにならなくて本当に良かった。 「小学生に戻りたいな」 親の懐事情なんて知らずとも全力で20分休みにドッジボールをするあの時に戻りたかった。こんなことを言うのもただの現実逃避だよなと理解していた。 もし、あの時さっさと利確していたらこんなに苦しむことはなかったろうに。そんなことがずっと頭の中をぐるぐるしていた。苦しく辛い!イライラする!そんなネガティブな事ばかり考えている自分も嫌になっていた。どうしたらこの苦しみから逃れられるだろうか。 「お金が戻ってきたら嬉しいか?」 「そりゃ嬉しいだろうよ!」 「お金があって何するんだ?」 「その金をさらに注ぎ込むんだよ」 「ではいくらになったら幸せか?」陰と陽の私が混在している。アニメで良くある光景のように。 「1000万円か?2000万円か?」 「まずは1000万円」 「1000万円になったら次の目標は2000万円になって、その次は5000万円だぞ」 「多分そうなるだろう」 「いつ使うんだ?増やすだけで使わなきゃ意味ないぞ!何か欲しいものはないのか?」 「そりゃ俺だって欲しいもんくらいあるさ。車だろ。ジェットスキーだろ。キャンピングカーもいいな」 「誘う友達もいないくせに誰と行くんだよ」 「一人で行くさ。どーせいつも独り」 「どーせって言うな!自虐はダメだと上司に言われたろ!自信を持て!」 自問自答を繰り返し帰宅した。風呂を沸かし湯に入る。アパートと職場の往復だけの毎日だ。 「お前が本当に欲しいのは金でも車でもねーよ。彼女だよ。お前を無条件に愛してくれる可愛い彼女だ!」 確かにそうだ。彼女もいないのに、ただ金を貯めるだけの生活に心底飽き飽きしていた。 そんな時だった。私は

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